最近、プラスチックリサイクルに関する新たな動きが自動車業界を揺るがしています。特に、欧州連合(EU)が2023年7月に公表した新規則案は、自動車メーカーにとって重要な転換点となるでしょう。この規則案は、新車に使用されるプラスチックの少なくとも25%を再生品とすることを義務付けるもので、環境への配慮が一層求められる時代に突入したことを示しています。

この動きを受けて、日米欧の化学メーカーや自動車メーカーがケミカルリサイクル技術に注目し始めました。ケミカルリサイクルは、廃プラスチックを化学的に分解し、再び原料として再利用する技術です。これにより、品質を新品と同等のレベルにまで高めることができ、マテリアルリサイクルと比べて耐久性や意匠性の面で優れている点が特徴です。

弊社でも、メンバーズカードやプラスチックカードの印刷制作において、環境への責任を重視しております。持続可能性を強調し、環境に優しい素材を提供することを我々の使命としています。素材の選択においては、品質と環境への貢献を同時に追求する方法を模索し、その代表例が再生プラスチックの活用です。この取り組みは、ケミカルリサイクルの技術とも共通する理念であり、持続可能な未来を目指す上で非常に重要です。

ケミカルリサイクルの導入にはコスト面での課題が残ります。とはいえ、環境規制が厳しさを増す中で、コストを抑えつつ高品質なリサイクル素材を生み出すことは、今後の自動車産業にとって不可欠な要素となるでしょう。特に、欧州市場での競争力を維持するためには、迅速な対応が求められます。

日本の大手化学メーカーやエネルギー企業も、ケミカルリサイクルの商業化に向けた準備を着々と進めています。三井化学、三菱ケミカル、住友化学といった企業はもちろん、出光興産やENEOSなどもこの分野に参入し、政府のグリーントランスフォーメーション(GX)投資の一環として、10年間で1.3兆円以上の支援を受ける予定です。この大規模な投資は、日本が世界のリサイクル市場でリーダーシップを取るための基盤となるでしょう。

一方で、化学産業はこれまで、CO2排出量が多い「多排出産業」というレッテルを貼られてきました。しかし、カーボンニュートラルを目指す中で、リサイクル技術の進展が環境負荷を軽減し、サステナブルな未来への道を切り開く鍵となります。自動車メーカーにとっても、こうした取り組みは欧州市場での生き残りをかけた戦略の一部となるでしょう。

最後に、旭化成をはじめとする日本企業が、欧州に社員を配置して現地の情報を迅速にキャッチする体制を整えたことは、グローバル市場での競争力を高めるための重要な一歩です。環境規制が厳しくなる中、いち早く対応策を講じることが、未来のビジネスを左右することになるでしょう。

今後、ケミカルリサイクルが自動車産業にどのような変革をもたらすのか、そしてそれが環境と経済にどのような影響を与えるのか、注目していきたいと思います。

投稿者 petcard

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